可愛い愛猫に「シャー！」と鳴かれて戸惑う飼い主さんは少なくないでしょう。

ただ、ほとんどの猫は「シャー！」と鳴くものですし、「シャー！」と鳴くのを完全にやめさせるのは現実的ではありません。

大切なのは、「シャー！」と鳴く意味を正しく理解し、その原因を探ることです。

猫の仕草・行動をつぶさに観察することで、愛猫との適切な関係性構築に役立てましょう。

猫は飼い主にもシャーと鳴く

飼い主さんのなかには、「毎日しっかり世話をしているのにシャーと鳴かれてショックだ」という人がいます。

確かに、「シャー！」と鳴くときの猫にはどこか敵意を示すような雰囲気が漂っていますし、それが飼い主である自分に向けられたとなると悲しい気持ちになるのは当然でしょう。

ただ、猫は理由があれば飼い主さんにも「シャー！」と鳴く動物だということを忘れてはいけません。

そのうえで、猫が「シャー！」と鳴く理由をしっかりと観察したうえで、原因に応じて適切な対応策をとっていくのが飼い主さんの責務といえるでしょう。

• 「飼い主だからシャーと鳴かれない」は間違い
• 理由があれば猫は飼い主さんにもシャーと鳴く
• 猫にシャーと鳴かれても取り乱さない
• 猫がシャーと鳴く理由を理解して信頼関係構築を目指すのが重要

猫は怒っていないときもシャーと鳴く

「猫がシャーと鳴くのは怒っているからだ」と決めつけてしまう飼い主さんは少なくありませんが、これは間違いです。

後述するように、猫はいろいろな原因があって「シャー！」と鳴きます。

「シャーと鳴くということは怒っているのだな。しばらくそっとしておこう」と安易に考えると、猫からの重要なサインを見落とすことにもなりかねないのでご注意ください。

猫のシャーはかわいい！でも飼い主さんが仕向けるのは厳禁

実は、猫が「シャー！」と鳴く様子に胸を躍らせる飼い主さんもたくさんいます。

確かに、SNSなどでは、猫が「シャー！」と鳴く姿が撮影され、画像・動画が人気になっているのは事実です。

ただ、猫がシャーと鳴くには理由がありますし、その理由のほとんどが猫にストレスを与えるものだということを忘れてはいけません。

ですから、猫のシャー姿を見て「かわいい！」と思ったとしても、執拗に「シャー！」とするように仕向けるのはやめましょう。

猫がシャーと鳴く意味は防御と攻撃

猫が「シャー！」には次の2つの意味があります。

1. 防御的威嚇
2. 攻撃的威嚇

防御的威嚇とは、自分の身体・縄張り・子どもなどを守る目的で行われるものです。

直接的に相手と争うのではなく、相手を遠ざけて危難をやり過ごそうという本能に基づきます。

攻撃的威嚇とは、防御だけでは足りず、ひっかく・かみつくなどの有形力行使を伴う威嚇行動のことです。

「争いもやむなし」「相手を傷つけよう」という本能に基づきます。

猫の「シャー」「フー」の違いは威嚇の程度差

猫が威嚇するとき、「シャー！」以外にも、「フー」「ウウウ」などの声で鳴くことがあります。

個体によって程度差はありますが、「シャー！」と鳴くときがもっとも威嚇のレベルが高いようです。

だからといって、「フー」「ウウウ」などの鳴き声なら気にしなくてもよいというわけではありません。

猫のシャーは「甘え」ではない

「シャー！」に込められた意味はあくまでも威嚇です。

飼い主さんにとっては「かわいい」と映るかもしれませんが、決して「甘え」の感情に基づくものではありません。

ですから、「シャー！」と鳴く猫を煽るような行動をとるのではなく、「なぜ威嚇するのだろう」「どうすればシャーと鳴かなくなるのだろうか」という考え方で猫に向き合うようにしましょう。

猫がシャーと鳴く5つの理由

猫が「シャー！」と鳴いたときは、「なぜ威嚇的な行動に出るのだろうか」というように原因を探る飼い主さんの姿勢が重要です。

猫がシャーと鳴く場合、おおよそ次の状況に置かれていることが多いので、猫の様子を観察して適切な対応をとりましょう。

1. 飼い主さんと信頼関係が築けていない
2. 飼い主さんが嫌がることをした
3. 自分の縄張りに侵入された
4. 子どもを守りたいと感じた
5. 怪我や病気をしている

猫シャーの理由１：飼い主さんが信用されていない

毎日愛猫を可愛がっているつもりでも、残念ながら猫から信用されていないことがあります。

たとえば、ペットショップ出身の猫の場合はそうでもありませんが、野良猫・保護猫には人間に対する警戒心が強い個体が多いです。

充分な信頼関係を構築できていないと、飼い主さんがよかれと思って触れ合おうとしても、「シャー！」と威嚇されてしまうでしょう。

猫シャーの理由２：嫌がることをされた

猫が嫌がることをされたと感じた場合、「シャー！」と鳴くことがあります。

たとえば、次のような行為は猫のストレス要因になるのでご注意ください。

• 大きな声や音で刺激する
• 執拗に猫を追い回す
• 猫の嫌がるところを触る
• 飼い主さんが知らない猫のにおいを身にまとっている

猫シャーの理由３：縄張りに侵入された

猫は縄張り意識の強い動物です。

誰かが自分のテリトリーに侵入すると「シャー！」と鳴きます。

特に、新たに猫を迎え入れるときには、先住猫の縄張りに配慮する必要があります。

お互いの警戒心が薄くなるように、時間をかけてゆっくりと慣れさせましょう。

猫シャーの理由４：子どもを守りたい

妊娠中・出産後は猫も神経がたかぶって警戒心が高まっています。

そのため、飼い主さんが余計なことをしなくても、母性本能から「シャー！」と鳴くことがあります。

猫シャーの理由５：怪我や病気を抱えている

猫が「シャー！」と鳴く場合に特に注意を要するのが、猫が怪我・病気を抱えている可能性についてです。

というのも、猫は身体に不調がある場合に、「シャー！」という鳴き声を上げることがあるからです。

猫のシャーをやめさせる4つの方法

猫が「シャー！」と鳴くのをやめさせる方法は次の4つです。

1. 時間をかけて信頼関係を構築する
2. 猫が嫌がることをしない
3. 猫のパーソナルスペースを尊重する
4. 体調を観察して動物病院に連れていく

猫シャーをやめさせる方法１：時間をかけて信頼関係を構築する

猫との信頼関係を構築するときに「焦り」は厳禁です。

飼い主さんにペースがあるように、猫にも猫なりのペースがあります。

猫は言葉を話さないからこそ、猫の仕草・行動から気持ちを読み取ってあげましょう。

猫シャーをやめさせる方法２：嫌がることをしない

猫の「シャー！」をやめさせるには、猫が嫌がることをしないのがポイントです。

猫と接するときには、次のようなアプローチを意識しましょう。

• 小さい穏やかな声で話しかける
• 無理矢理触ろうとしない
• 猫が嫌がる箇所は触らない
• 猫カフェなどで他の猫と触れあったときは帰宅後すぐに入浴する
• 親猫と子猫を無理矢理引き離さない
• 目線を反らして干渉しない　など

猫シャーをやめさせる方法３：猫のお気に入りの場所を確保する

猫にはお気に入りの場所・縄張りがあります。

自分のにおいが強いスペースは、安心してストレスを解消できるからです。

たとえば、猫が気に入っているスペースを勝手に配置換えするなどの行動は避けましょう。

猫シャーをやめさせる方法４：体調をじっくり観察する

「シャー！」と鳴く原因が身体の不調にある可能性もゼロではないので、猫の体調をじっくりと観察しましょう。

特に、威嚇行動がすぐに止まる場合には気にする必要はありませんが、長期間「シャー！」がつづくのなら怪我・病気などを疑うべきです。

できるだけ早いタイミングで動物病院の先生に相談してください。

まとめ

猫が「シャー！」と鳴くのは理由があるからです。

気まぐれで飼い主さんを威嚇しているわけではありません。

「シャー！」と鳴く機会が増えるほど、猫にとって負担は重くなるばかりです。

猫の様子をしっかり観察しながら、猫が安心して生活できる環境を整えましょう。

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