猫にご飯を食べさせる強制給餌とは?準備から方法を体験談を交えて紹介
愛猫の食欲が落ちて、ご飯を食べてくれないとき「頭によぎるのは食べさせること」ではないでしょうか。しかし、そもそもご飯を食べる体力がないかもしれないし、やり方もわからないということもあるはずです。
そこで本記事では、愛猫にご飯を食べさせる「強制給餌(きょうせいきゅうじ)」の方法を紹介します。筆者が体験したこと、実際に使っている用品や方法にも触れますので、ぜひ最後までご一読ください。
猫にご飯を食べさせることを、強制給餌(きょうせいきゅうじ)と呼びます。
・ドライフードをふやかしてペーストにする
・ドライフードを粉末にして水と合わせてペーストにする
・ウェットフードを食べやすい細かさに砕く
といった準備を実施し、指で口に入れるまたはシリンジで食べてもらいます。食欲不振で自分から食べられない場合や、老猫の介護でも使いますのでぜひチェックしてください。
※1回の給餌では2〜6時間の間隔を空けて、吐き戻しや嫌がる仕草が多いときには、必要量を小分けに分割してこまめに与えることが大切です。一度に栄養を補給してもらえるほうが嬉しいものですが、愛猫の負担も考えて時間を決めましょう。
目次
猫にご飯を食べさせる必要があるなら強制給餌
猫にご飯を食べさせる必要があるなら、強制給餌について知る必要があります。
例えば、病気の治療中に食欲が低下してご飯を食べなくなった、食欲不振で少しずつ痩せてきたといった際には、飼い主さんが心を鬼にして食べてもらうこともときには必要となるといった形です。
食べない状態をそのままにしておくと、2〜3日もあれば十分に命の危険が迫るラインにまで痩せたり、内臓へ負担がかかったりするものです。
ノミの大量発生(山に住んでいるのでふとしたときに現れます)によってフロントラインを使った際、一時的に食欲不振になった愛猫の強制給餌に踏み切ることがあります。また、体調不良の際にも獣医師の指示を受けながら、強制給餌による体力回復および水分補給を狙うといった経験は何度もしてきました。
ちなみに、獣医師さんからは2〜3日ほど食べない期間が続くと、肝リピドーシスを引き起こして命の危険性があるということも耳にしていたことが、強制給餌に踏み切るようになったきっかけです。
強制給餌(きょうせいきゅうじ)とは
強制給餌(きょうせいきゅうじ)とは、自発的にご飯を食べなくなった、食べられなくなった愛猫にご飯を強制的に食べさせることです。
- 栄養をつけて元気になってもらう
- 免疫をつけて体力の回復を狙う
- 自発的に食べられるまでサポートする など
主に上記の目的で行いますが、できるだけ自ら食事が取れる状況を作り、それでも摂取できないときの最終手段として使いましょう。長期にわたって強制給餌を実施すると、愛猫や飼い主さんのストレスになることがあるので、短期間の勝負として行うのが一般的です。
※無理やりご飯を食べさせるのに抵抗がある、嫌がる愛猫を見ていられない、そもそも意味はあるのか、など賛否両論がありますので、当サイトでは強制給餌の可否については言及しません。
猫の強制給餌を行う前の準備
猫の強制給餌を行って食べさせるためには、事前の準備が大切です。まずは、以下の用品をすべて準備しましょう。
- ドライフード(ウェットフード)
- お湯
- シリンジ(使う場合)
- すり鉢およびミキサー
- おしぼり、タオル
- ティッシュ
- ゴミ箱
ドライフードは、いつも食べているものがおすすめです。また、ウェットフードはおやつ(一般食)が含まれていますが、総合栄養食を選ぶことが大切。缶詰も同様です。

ご飯を準備しよう
猫の強制給餌を行うためにも、ご飯を準備します。体力および食べ方・消化に応じて、以下のフードを作ってください。
- ドライフードをふやかしてペーストにする
- ドライフードを粉末にして水と合わせてペーストにする
- ウェットフードを食べやすい細かさに砕く
ドライフードをふやかす方法は、人肌より少し温かい40度前後にしたお湯に浸しておきます(熱湯は栄養素を破損する恐れがあるため)。ドライフードおよびウェットフードは、固形物がどうしても入ってしまいますので、シリンジで使えるレベルにまで細かくします(フードプロセッサーが便利です)。
人間用のフードプロセッサー等を使いまわしてしまうと、愛猫にとって危険な成分がごく稀に入り込み、状態を悪化させることがあります。可能であれば、専用のものを準備すると良いでしょう。
よく洗浄したすり鉢で時間をかけて作るのもありです。筆者は、愛猫専用としてコーヒーミル(ミルサー・ミキサーでもOK)を購入し、ドライフードを粉末にしてからチュールでペーストにする方法をよく使っています。以下に貼っておきますね。

爪を切っておく(可能であれば)
これからご飯を食べてもらう愛猫は、嫌がって手を出すことがありますので、事前に爪切りをしておきます。
どうしても爪切りができない場合は、ご飯を食べてもらう間だけ靴下をつけるといった対策も取れますし、バスタオル等で優しく包んで落ち着いてもらうのも効果的です。
なお、暴れないように固定することで食べてもらいやすくなりますが、仰向けで食べると誤嚥(喉に詰める・肺に入る)といった可能性が高まります。うつ伏せになる態勢にし、食堂およびお腹の締め付けをできるだけ緩めておきましょう。

猫の強制給餌の方法
猫の強制給餌の方法は、以下の2つから選びます。
- 指で口に入れて食べさせる
- シリンジで食べさせる
指で口に入れて食べさせる
愛猫にご飯を食べさせる方法の1つ目が、指で口に入れて強制給餌することです。
- ペースト状のフードを指につける
- 猫の口を開ける
→頭を覆うように手を添えて、もう片方の手で下顎を下げるイメージ - 上顎にペーストを塗る(または舌に乗せる)
- 噛まれないように指や手を離して見守る
主に自ら噛む、飲み込む力のある愛猫の場合に行います。口の大きさ、噛む力に合わせて量を調整する必要があるため、最初はほんの少しから始めて、徐々に量を覚えることが大切です。また、奥まで入れる必要はないので手前の上顎に塗るイメージで試してみてください。
猫の口の端に指を入れると、自然に口を開けてくれますので、何度も繰り返してご飯を食べさせます。
筆者が何度も経験したのが、指を噛まれることです。出血するとその指は使えなくなる(血が口に入ってしまう)ので、意外に苦労します。できるだけ犬歯から指を離せるようにし、安全に留意できるよう複数人で行うといった対策がおすすめです。
シリンジで食べさせる
愛猫にご飯を食べさせる方法の2つ目が、シリンジで強制給餌することです。
- シリンジにペーストを入れる
→可能なら複数用意する - 猫の口の端から先端を入れる
- 少量ずつ入れていく
- 口からこぼれたペーストは拭き取る
主に飲み込む力が弱ったり、身体を起こせなくなったり(加齢等で)するときに行います。手っ取り早く確実な方法ですが、うとうとしているタイミングで行うと喉に入りすぎて肺炎の危険性があるため、しっかりと声をかけながら食べさせます。
イメージとしては、液体の食事をゆっくりと舐めて食べる程度の量です。シリンジは嫌がることもありますし、先が尖っていると口の中を傷つけることもあります。普段から慣れさせておくと良いですね。
思っている以上に口から流れ出てくるので、おしぼり等は必ず準備してください。また、焦って流し込むこともNG。あくまでもゆっくり、少しずつ時間をかけてご飯を食べてもらうことが大切です。
【筆者が購入しているシリンジの例】
→シリンジ 1ml 3ml 5ml 10ml 20ml 10本セット

健康で食が細いときには小分けする
健康な猫ちゃんで食が細いときには、規定量を一定のタイミングで食べてもらうといった方法はおすすめしません。
1日2回の食事を、4〜5回に分けても同じ栄養を摂取できるように、食べやすいタイミングや回数を見つけてあげる必要があります。また、食事が多く取れないなら栄養価の高いもの(カロリーエース等)に切り替えることも大切。
水も同様に小分けで飲めるようにするといったこともできますので、愛猫の状態に合わせて調整しましょう。パッケージに書いてあるのは一般的な方法であり、薬のような必ず守るべきものではないことを踏まえて、食事の回数やタイミングを決めてみるのがおすすめです(医師の指示がある場合、療法食の場合はこの限りではありません)。
猫の強制給餌は何時間おきがいい?
猫の強制給餌を実施する際には、2〜6時間おきに1回がおすすめです。2回の強制給餌であれば、朝の9時と17時に分ける、3回なら13時を増やすという形でも良いでしょう。
なお、吐き戻しが多いときには1回で与える分量を半分にして再挑戦します。また、間隔が短いことで負担がかかっていることもあるため、1〜2時間ほどズラしてみるのもおすすめです。

まとめ
猫にご飯を食べさせる「強制給餌」は、以下の準備と手順で実施します。
準備 | ドライフード(ウェットフード) お湯 シリンジ(使う場合) すり鉢およびミキサー おしぼり、タオル ティッシュ ゴミ箱 |
方法 | 指で口に入れる シリンジで口に入れる |
ただ、果たして本当に強制給餌が正解だったのかは、筆者もよく考えますし、答えが出たことは一度もありません。
- 数時間の長生きのために行うのか
- 辛そうな顔をする姿を見ながらご飯を食べさせる意味があるのか
- 自然に任せたほうが良いのか
こうしたものに関しては明確な正解がなく、人間の延命治療についても多くの人が意見を持っている部分だと思います。ただ、愛猫のことを本気で・必死に考えた結果であるなら誰かに責められることではないはずです。
強制給餌で実際に元気になり、今でも部屋を走り回っている愛猫もいるので、やり方や知識をつけておくといつか役立つときが来るので、ぜひ本記事を参考にしてくださいね。
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