猫との暮らしは飼い主さんに代えがたい幸福感を与えてくれる一方で、猫の習性が原因で飼い主さんを想像以上に悩ませることがあります。

猫との生活で生じる困りごとの代表例が、夜の大運動会と叫ぶような夜鳴きです。

そこで今回は、猫が夜うるさい理由と対処法について解説します。

あわせて、猫が夜うるさいときにやってはいけない間違えた対策も紹介するので、最後までご一読ください。

飼い主さんが夜中に猫をうるさいと感じる2つの理由

夜、猫が飼い主さんを困らせる行為の代表例が次の2点です。

• 自宅で大運動会をはじめる
• 「アオーン」と叫ぶように鳴く

猫は夜中に突然運動会をはじめる

まず、飼い主さんを悩ませる猫の夜の行動として、夜の大運動会が挙げられます。

これは、猫が突然制御不能状態におちいり、部屋中を駆けまわったり飛びかかったりする行動のことです。

猫の運動会は15分～30分程度で終わりますが、開催されるのは夜中～明け方なので、想像を超える騒音問題を引き起こします。

なお、猫が運動会をするのは月齢が若い段階。だいたい7歳～8歳頃には運動会は開催されなくなります。

猫はアオーンと叫ぶように夜鳴きする

次に、飼い主さんを困らせるのが猫の夜鳴きです。深夜・早朝に、叫ぶような大声で夜鳴きをします。

夜鳴きの原因はさまざまですが、鳴き叫ぶ根本原因を取り除かなければ夜鳴きが終わらないのが問題点です。

マンションや団地に居住している場合、猫の夜鳴きが原因で騒音トラブルに発展する可能性もあります。

なお、猫の「アオーン」という夜鳴き問題については以下のコラムで詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

猫が夜運動会を開催する原因と対策

まずは、猫が開催する夜の運動会について詳しく見ていきましょう。

夜に運動会を開催する理由が分かれば、その対策・予防策が見つかるはずです。

猫はどうして夜運動会を開催してうるさいの？3つの理由

猫が夜に運動会をスタートする原因として、次の3つが考えられます。

1. 猫は薄明薄暮性の動物だから
2. エネルギー・体力が余っているから
3. ストレスが溜まっているから

1は「猫」という動物がもつ性質であるため原因を取り除くのは難しいですが、2・3は生活習慣に関係する要因なので飼い主さんサイドの工夫で対処可能です。

猫が開催する夜の運動会の対応策・予防策

それでは、猫が開催する夜の大運動会への対応策・予防策について、原因ごとに対策を見ていきましょう。

運動会の原因	対策・予防策
運動不足	・日中に一緒に遊ぶ時間を増やす ・ひとり遊び用のおもちゃを購入する ・キャットタワーを設置して運動習慣を定着させる
ストレス	・一緒に過ごす時間を増やして満足感を与える ・猫が嫌がることは普段から避ける

もちろん、飼い主さんのなかには、仕事や家事・育児などが原因で愛猫とコミュニケーションをとる時間を充分とれないという人も少なくはないでしょう。

現在、猫の満足度が高いキャットタワーや、猫がひとり遊びできるような電動のおもちゃも市販されているので、このような用品を購入することで夜の大運動会の予防を目指してください。

猫が夜の運動会を開催したときの間違った対処法

猫が夜運動会を開催すると想像以上の騒音になるので、できればすぐにでも運動会を閉会させたいと思うはずです。

ただ、どれだけ猫が夜うるさく暴れまわったとしても、次のような対処法は逆効果の可能性があるのでご注意ください。

• 飼い主さんが大声で怒鳴りつける
• 走り回る猫を無理矢理押さえつける
• ケージに入れて軟禁する

猫の運動会は本能的なものなので、無理矢理止めさせるのは不可能です。

強硬策に出たところで猫は言うことを聞いてはくれませんし、むしろ猫を逆撫ですることでさらに問題行動が深刻化するリスクさえ生じかねません。

ですから、「普段から気を付けて夜に運動会が開催されないように工夫する」「夜、運動会が開催されたらできるだけ短時間で終わるように予防策を実施しておく」のが重要です。

猫が夜「アオーン」と叫ぶように鳴く原因と対策

つづいて、猫の夜鳴きの原因・対策について見ていきましょう。

運動会とは違って、猫の夜鳴きがうるさい場合には原因・対処法が少し複雑です。

夜鳴きをする猫の生育段階次第では緊急を要する可能性もあるので、愛猫の様子をじっくりと観察しましょう。

猫はどうして夜うるさく鳴くの？

猫が夜けたたましく鳴く理由は次の通りです。

猫の月齢によって原因が異なるので注意が必要です。

夜中うるさい猫の属性	夜鳴きする原因
子猫・保護猫	寂しい 甘えたい 環境の変化への不安
成猫	発情期
全猫共通	環境や飼い主さんに対する不満 ・お腹が空いた ・トイレが汚い ・寝床が落ち着かない　など
老猫	病気や怪我を抱えている

年齢を重ねた猫が夜鳴きをしている場合には、病気・怪我の可能性があるので様子を観察してください。

他の症状（食欲不振・生活リズムの乱れなど）が見られるなら深刻な病気を抱えている可能性があるので、すみやかに動物病院を受診しましょう。

これに対して、猫の”要求鳴き”が激しい場合には、ご家庭内だけでも充分夜鳴き対策できます。

猫のうるさい夜鳴きを止めさせるにはどうすればいいの？

それでは、猫のうるさい夜鳴きを止めさせる方法について具体的に見ていきましょう。

夜鳴きする原因	夜中うるさい猫への対処法
要求鳴き	・原則夜鳴きは無視（構って癖防止のため） ・日中に触れあう時間を増やす ・安心できる匂いつきの物を身近に置く
発情期	・原則無視（妙な刺激は逆効果） ・避妊手術・去勢手術を実施
飼い主さん・環境への不満	・トイレや寝床を掃除する ・食事の回数や量、タイミングを見直す ・運動する時間を増やす　など

猫のうるさい夜鳴きへの間違った対処法・予防法

猫の夜鳴きがどれだけうるさいとしても、次のような対処法で止めさせようとするのは避けるべきです。

• 夜鳴きのたびにおやつを与える
• 殴ったり叱りつけたりする
• 口輪・首輪などで無駄吠え防止のしつけをする

飼い主さんが覚えておくべきなのは、夜鳴きは猫からのメッセージだということです。

伝えたいことや分かって欲しいことがあるから「アオーン」と夜鳴きをしているのに、その声を聞いてもらえずに無理矢理気持ちを押し込められると、飼い主さんに対する信頼が失われてしまいます。

かなりボリュームの大きい叫び声なので飼い主さんも戸惑ってしまうかもしれませんが、夜鳴きの原因をしっかりと探って、適切な対処法を選択してください。

猫が夜うるさくて困っている飼い主さんがよく抱く疑問

最後に、猫が夜うるさくて困っている飼い主さんがよく抱く疑問を紹介します。

• 猫の騒音はご近所迷惑になる？
• 猫が夜うるさいとノイローゼになる？
• 野良猫がうるさいときの対処法は？

猫が夜うるさいとご近所迷惑になる？

猫の運動会や夜鳴き声は近所迷惑になる可能性が高いです。

「アオーン」という鳴き声は隣近所に響き渡りますし、運動会の足音や物音は鳴き声以上の騒音トラブルに発展しかねないでしょう。

騒音トラブルが大きくなると、場合によってはマンションなどの退去を強いられるリスクもあります。

ですから、騒音問題でご近所問題が深刻化する前に、次のような対策を試してみてください。

• 猫の居住空間には防音マット・シートを設置する
• 家具などが倒れないように固定しておく
• 騒音被害が及ぶ範囲のご近所さんとコミュニケーションをとっておく

猫が夜うるさいとノイローゼになる？

猫が夜うるさい状態がつづくと、飼い主さんがノイローゼになってしまいます。

なぜなら、猫がうるさい時間帯は夜中～早朝なので、飼い主さんの睡眠が妨げられるからです。

とはいえ、ここまで紹介したように、「猫の騒音をゼロにする」のは簡単ではありません。

ですから、できるだけ猫が夜にうるさくならないように可能な限り予防策を実施したうえで、「猫がうるさくなるのは仕方のないことだ」と受け入れる姿勢をもつようにしましょう。

野良猫が夜うるさいときはどうすればいい？

野良猫が夜うるさくて困っているという人も少なくはないでしょう。

ただ、どれだけ野良猫が夜鳴きをしたり暴れたりして夜うるさいとしても、あなた自身がいきなり次のような対策をとるのは避けてください。

なぜなら、あなた自身が動物の愛護及び管理に関する法律違反で処罰される可能性があるからです。

• 夜うるさい野良猫を殺す
• 夜うるさい野良猫に罠・毒入りの餌をしかける
• 夜うるさい野良猫を勝手に駆除する

参照：「虐待や遺棄の禁止」環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室

自治体や動物愛護団体に相談すれば、野良猫の騒音トラブル・糞尿被害などの相談に乗ってくれます。

また、自治体によっては積極的に野良猫の保護などに取り組んでくれる場合があるので、まずはお住まい地域の市役所などにお問い合わせください。

まとめ

猫が夜うるさいのは仕方ない面がある反面、住環境次第では何かしらの対応をとらなければ想定外のトラブルに発展する可能性も否定できません。

ですから、運動会や夜鳴きが酷い場合には、しっかりと原因を見極めるのが重要です。

また、場合によっては猫自身が病気・怪我などの問題を抱えていることもあるので、普段から愛猫の様子を細かくチェックして異変がないかを確認しましょう。